バイオレンスツアー 46 最終回 快楽になってしまう……

前回はこちらへ「ぎゃああ、痛いぃいい、やめろ。助けてくれ」 ケモノの鋭い牙から逃れようとしたボルトンだったが、かえって深く傷を負い、血がビューッと頸動脈から噴き出した。「ひいいいいい」 ボルトンの悲鳴はすぐ消えた。 死につつあるグレダやボルトンを、ケモノたちは犯し続けている。「逃げましょう」 ゆっくりとスロープに向かうミシェルたちを、ケモノらは無視していた。新しい家畜が好きなのだろうか。グレダやボルトンを前から恨んでいたのだろうか。 それとも、あえて礼子たちを自由にさせているのだろうか。「ぐええええええ」 グレダの奇妙な悲鳴。「ケモノに射精されると、私たちと同じように体が動かなくなっていくと思うわ」 突然、千代絵がそう言い出した。息を吸いながらしゃべっているかのようなしゃがれた声。「千代絵! しゃべれるの!」「あの子たちは、とても人間に興味があるのよ。私なんかより、ずっと長く付き合ってきたあそこの連中のことを、前から狙っていたのよ」「どうして?」とミシェル。「決まってるじゃない。あんな風にされたのは、すべてあいつらのせいだってわかっているのよ。ここでただ死を待つだけなんだもの。飼い殺し。その気持ち、わかるでしょ?」 千代絵は何度もケモノたちと交わるうちに、しだいに彼らの気持ちが理解できるような気がしていたのだ。 そこに自分の気持ちも重なっていった。ケモノと自分は同じだ、と。「雄だけしか作られず、生殖機能のない彼らだけど、心みたいなものはあるんじゃないかしら」 ミシェルもそうつぶやく。 3人はスロープをゆっくりと外に向かって登る。「生殖機能がないって、ホントかな」と千代絵がつぶやいた。「え? どういうこと?」 礼子が驚く。 そのとき、重々しいエンジン音が響いてきた。「あっ」 アビスが大型のフォークリフトを運転しながらグレダを助けようと突っ込んで行く。そのあとを4人の男たちが銃を手についていく。「キーーーーー」 まるで警報を鳴らすような甲高い音が谷に響いた。「なに?」 12頭しかいないはずだった。 穴から、20頭を超える小さなケモノたちが這いだしていた。「うそでしょ」「ね。彼らは独自の生殖機能を手に入れたのよ」 千代絵の勝ち誇ったような言葉。「どうやって!」「私の卵巣をあげたの」 千代絵は突然、ケラケラと笑った。 狂ってしまったのか。「うああああ」「ぎゃああああ」 新たなケモノたちは、いつもの12頭に比べて半分もない小さな体だが、すばしっこく、4人の男たちに銃を撃たせる間も与えず、あっという間に顔に飛びかかり倒し、裸にして犯していく。牙はしっかりあるので、下手に逃げると血だるまにされてしまう。 フォークリフトの上のアビスも例外ではなかった。「こいつら、なに? どこから来たの?」 グレダを失神させ、ボルトンを殺した12頭のうちの半分ぐらいがアビスへの襲撃に参加していた。 残りの半分は、開いたままになっている地下通路へ入っていく。新たな家畜を探して。「こっちには興味がないのね。よかった」 そのとき、アビスの甲高い声が響いた。「自爆装置が起動したわ! もう、おしまいだわ!」 建物の何ヵ所かで赤いランプが点滅していた。ほかに変わったことは起きていない。「自爆って?」 ズズーンとお腹に響くような音と振動。 ケモノたちでさえ、建物を見上げた。 建物がゆっくりと内側に崩れていく。「ケモノが建物に侵入したら自爆装置が動き出し、誰かがそれを停止できなければ爆発する。そんなことなんじゃない?」 ミシェルが冷たく言い放った。「ここは存在してはいけない施設だから」 その直後に明瞭な爆発音が響き、真っ赤な炎が夜空に柱のようにまっすぐ伸びていった。「きれい」 千代絵の声。「マズイわ、急ぎましょう!」 ミシェルに促されて急いでスロープを登りきる。「見て!」 まるで谷に蓋をするかのように、礼子たちのすぐ近くを、入り口にあった巨大な壁のような建物がゆっくりと倒れていく。 帆のような屋根がその上に巻き込まれるようにして落ちていく。 あたりはゴウゴウと激しい音に包まれていた。 礼子たちが閉じ込められていた建物は崩れ去り炎を上げ、小さな爆発を繰り返していた。 ケモノたちの咆哮も人間の叫びも聞こえない。「なにもかも、瓦礫の下だわ」「でも、ほら、上」 見上げると、満天の星が広がっていた。「助かったの?」 礼子は思わずつぶやいていた。 重々しいヘリの音。何台もの消防車のサイレン。そして無人偵察機が上空をミサイルのような速度で通過した。 誰かが助けに来てくれるに違いない。 ようやく礼子のおぞましいツアーは終わろうとしていた。「だけどね」と千代絵がつぶやく。「あなたたちは、卵巣を彼らにあげていないよね?」「え?」「それが?」 炎に照らされた千代絵は、不気味に微笑んでいた。「彼らの生殖能力、すごく進化していたと思うの」 ミシェルと礼子は、思わず自分のお腹に手を当てていた。「大丈夫よ。そんなことはないと思う。たぶん」 自分たちは助かったのか。それとも、さらなる地獄がはじまるのか。礼子は突然、背筋を脳髄へと走る電流に痺れた。「あああっ」 恐怖や痛みが快楽になる……。快楽になってしまう……。恐ろしい未来を想像するだけで頭が真白になっていく。 礼子は股間から淫汁を撒き散らしながら、立ったまま達していた。 おわり★「バイオレンスツアー」は今回で完結です。そもそもかなり以前に商業誌に掲載された「バイオレンスツアー」を元にほぼまったくの新作として連載してきました。最初は古い原稿の掘り起こしをしたかったのですが、元の原稿を見ながら書き起こしはじめたところ、ただ再現するのではすまないと感じたのです。いまの時代にふさわしいものにしていこうと、大幅に書き直していきました。結果、このような作品になりました。長らくお読みいただきありがとうございました。   あんぷらぐど(荒縄工房)★お嬢様はドM 第一部★DMM.R18版はこちらへDLSite版はこちらへアマゾンkindle版はこちらへ少しドジなお嬢様・丸木戸恵梨香(20歳)がマゾの衝動にかられてじわじわと屈辱的な「ドMのゴキ」となっていきます。ブログ公開版に未発表の2エピソード追加。★お嬢様はドM 第二部★DMM.R18版はこちらへDLSite版はこちらへアマゾンkindle版はこちらへお嬢様として育てられた恵梨香は、M性に目覚め執事の息子の遠隔調教を受けることに。執事夫妻、代理として屋敷に入り込んだ男、巨根の運転手、そして調教のプロたちから日夜、心身の限界まで責められていく。さらに大学の友人たち、婿候補の子息たちにも……。 未公表部分追加。今日のSMシーンSM SPECIAL 9 SM麗奴
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